ファッション=表現?

さて、ファッションというと、最近は、多くのひとがこの「表現」に結びつけて考
える。個性の表現だとか自己表現というのがそれだ。地味な恰好をしていると、個性
的ではない、もっと自己表現を、などといわれる。しかしよく見てみれば、流行に敏
感なひとのかなりの部分というのは、じつは制服に身を包んでいるように、同じよう
な非個性的な恰好をしている。まわりを見ても、若い女性はキャミソールのようなド
レスとかスリップドレスとか、インナーのようなミニドレスに身を包んでいる。それ
に薄手のスケスケのカーディガンをちよいとはおって、という感じだ。足元を見ても、
たいていはかかとが太くて高いサンダルを履いている。

自己表現というときの自己が流行のなかでつくられるのだから、流行しか表現しょ
うがないのだろう。しかも店で買う以上、「絶対的」に個性的な服などあるはずもない
から、みんな似たり寄ったりの服装になるしかない。わたしもこのあいだ、買ってか
ら半年も着る勇気がなかった奇抜な服をある会合に着ていったところ、そっくりの服
装のひとと鉢合わせしてしまい、まったく居心地が悪い思いをした。

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